お子さんが「肩が張っている気がする」「投げたあとに肩が重そう」と感じたとき、肩甲骨(けんこうこつ・背中の上部にある翼のような形の骨)まわりの動きに目を向けてみると、体の使い方のヒントが見つかることがあります。野球肩(投球障害肩)は、投球動作の繰り返しによって肩関節周囲に生じる痛みや機能障害の総称と考えられており、肩そのものだけでなく、肩甲骨や体幹(胴体の軸となる部分)の動きも関係していると説明されています。
この記事では、なぜ肩甲骨の可動域(動かせる範囲)が投球にとって大切とされているのか、家庭で無理なく取り入れられるストレッチの考え方、そして注意すべきサインについて、保護者の方に向けてまとめます。なお、野球肩の診断や治療は整形外科など医師の領域であり、この記事はあくまで一般的な健康情報の提供を目的としています。詳しい発生の仕組みについては、野球肩の原因とはもあわせてご覧ください。
肩の痛み(五十肩・野球肩)を「動き」と「全身のつながり」で捉える当院の視点
肩の痛みや動かしづらさは、肩関節や肩甲骨まわりの副運動(骨と骨の間で起こる小さな遊びの動き)が乱れ、周囲を覆うファシア(筋膜)の滑走性が低下することで、腱板や関節包に負担が集中しやすくなっている状態と考えられます。当院ではこの小さな動きのエラーに触れて変えるのではなく、反応を引き出すことを目指したアプローチを行います。
一方で、猫背や巻き肩といった姿勢の乱れは肩だけの問題にとどまらず、全身の血流やリンパの循環にも影響し、肩への負担を増やす一因になり得ると考えられています。局所の動きはFJA理論の視点で、全身の姿勢や循環は姿勢循環整体の視点で役割分担しながら整えることで、身体が本来持つ自然治癒力が発揮されやすい環境づくりをサポートしています。
なお本コンテンツは診断や治療、効果を保証するものではなく、強い痛みやしびれ、動かせないなどの症状がある場合は医療機関の受診をおすすめします。
なぜ肩甲骨の動きが大切なのか
投球動作は、下半身から体幹、肩甲骨、肩、肘へと力が伝わっていく全身運動であると説明されています。この一連の連鎖の中で、肩甲骨は土台となる胸郭(きょうかく・肋骨が作るかご状の部分)の上をなめらかに滑るように動き、腕を大きく振りかぶる動作や、加速期に肩へかかる負担を分散させる役割を担っていると考えられています。
肩甲骨まわりの筋肉がこわばったり、動きが硬くなったりすると、本来なら肩甲骨が受け持つはずの動きの一部を、肩関節そのものが無理に補おうとしてしまう場合があるとされています。その結果、肩関節後方の組織や腱板(けんばん・肩を安定させる筋肉の集まり)に負担が集中しやすくなる、という考え方が多くの整形外科系の情報でも紹介されています。つまり、肩甲骨の柔軟性や動きを保つことは、肩だけに負担が偏らない体づくりの一つの視点として位置づけられているといえます。
ただし、肩甲骨の動きを整えることが野球肩を治す、あるいは改善するという意味ではありません。あくまで、投球動作全体の負担を分散させるための一般的なコンディショニングの一つとして紹介されている考え方です。
肩甲骨まわりのストレッチ例(無理のない範囲で)
家庭で取り入れられる肩甲骨まわりのストレッチとして、一般的に紹介されているものをいくつか挙げます。いずれも、痛みのない範囲でゆっくり行うことが前提です。呼吸を止めず、反動をつけずに行うことが基本とされています。
胸を開くストレッチ
壁や柱に片手をつき、体をゆっくりとひねって胸を開くように動かすストレッチです。肩の前方から胸まわりの張りをやわらげる一助になると紹介されています。左右とも同じように行い、片側だけに偏らないようにすることが目安とされています。
肩甲骨を寄せる・開くストレッチ
両腕を前に伸ばして肩甲骨を左右に開く動き、そして両腕を後ろに引いて肩甲骨を背骨側に寄せる動きを、ゆっくり交互に繰り返す運動です。肩甲骨そのものの可動域を保つ運動として、一般的なセルフケアの情報でも紹介されています。
肩甲骨を上下に動かすストレッチ
肩をすくめるように持ち上げてから、力を抜いてストンと下げる動きを繰り返します。肩甲骨を吊り上げている筋肉の緊張をやわらげる一助になると考えられています。
これらはあくまで一般的に紹介されているセルフケアの一例であり、投球フォームの見直しやインナーマッスル(肩関節を安定させる深層の筋肉)のトレーニングと合わせて考えることも大切とされています。インナーマッスルについては、野球肩とインナーマッスルで詳しく取り上げています。
胸郭・体幹とのつながり
肩甲骨は単独で動いているわけではなく、胸郭や体幹の柔軟性と密接に関わっていると考えられています。背中や胸まわりが硬くなっていると、肩甲骨が本来の可動域まで動きにくくなり、結果として肩関節への負担が増える一因になるとも説明されています。
そのため、肩甲骨まわりのストレッチだけを単独で行うよりも、胸郭を広げる呼吸の仕方や、体幹・股関節を含めた全身の柔軟性を保つ視点を持つことが望ましいとされています。投球は肩だけの運動ではなく、下半身から体幹、肩甲骨へと連なる全身運動であるという理解が、家庭でのケアを考えるうえでも参考になります。
なお、「ストレッチをすれば野球肩が治る」という単純な話ではありません。ストレッチはあくまで負担を分散させる工夫の一つであり、痛みそのものへの対応や診断は、整形外科など医療機関の領域です。ストレッチと治癒の関係については、野球肩はストレッチで治る?でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
痛みが出たら中止するべきサイン
ストレッチはあくまで痛みのない範囲で行うことが前提です。次のような場合は、無理に続けず中止し、必要に応じて医療機関に相談することが望ましいとされています。
- ストレッチ中や直後に鋭い痛みが走る場合
- 動かせる範囲が明らかに左右で異なる場合
- 安静にしていても肩の痛みが引かない場合
- 投球のたびに毎回同じ場所が痛む場合
こうしたサインがある場合、肩関節そのものに何らかの負担がかかっている可能性があるとされ、成長期特有の骨端線(こつたんせん・骨の成長にかかわる軟骨の部分)の状態が関係していることもあると考えられています。特にリトルリーグショルダー(上腕骨近位骨端線離開)と呼ばれる状態は、整形外科でのレントゲン検査によって左右の骨端線を比較しながら確認されるものとされており、ご家庭やストレッチの範囲で判断できるものではありません。気になる様子があれば、自己判断で様子を見続けず、早めに整形外科・スポーツ整形外科への受診を検討してください。
一宮整骨院〜Seri〜の「KIRIN整体」という考え方
肩甲骨の柔軟性を保つ工夫をご紹介してきましたが、当院では、痛む肩だけを診るのではなく、なぜそこに負担が集まったのかを全身から探すという考え方を大切にしています。これを「KIRIN整体」と呼び、次の4つの視点と医療機関との併用でサポートしています。なお、野球肩の診断や治療は整形外科など医師の領域であり、当院がこれを治療するものではありません。
関節と筋膜を整える
肩関節の動きと、体を包む筋膜(体を包む薄い膜のようなもの)のなめらかな滑りはセットで働いています。投球の繰り返しで生じるこわばりを整え、肩本来の動きを引き出すサポートを目指します。
神経の通り道を整える
神経が周囲の組織にひっかかり巡りが落ちると、しびれや痛みにつながると考えられています。神経の滑り道をゆるめる視点からサポートします。
姿勢と全身のつながり(肩甲骨・体幹・下半身)を整える
投球は、下半身から体幹、肩甲骨、肩、肘へと力が連鎖する全身運動です。肩だけでなく、肩甲骨の動き・体幹・股関節など全身のつながりから整え、肩への負担が偏りにくい体づくりをサポートします。
呼吸と巡りを整える
浅い呼吸や巡りの滞りは、回復力を下げてしまうことがあります。横隔膜(呼吸を助ける、肋骨の下の筋肉)や呼吸、血流を整え、疲れが抜けやすい体の土台づくりをサポートします。
医療機関との併用
野球肩の診断・画像検査・治療は整形外科(医師)の領域です。当院ではまず医療機関で状態を確認していただいたうえで、日々のケアと体づくりをサポートする併用のスタンスを大切にしています。
まとめ
肩甲骨の柔軟性を保つストレッチは、投球時に肩へ負担が偏らないようにするための一般的なコンディショニングの一つとして紹介されています。ただし、ストレッチそのものに野球肩を治す効果があるわけではなく、痛みが強いときや左右差が大きいときは無理に続けないことが大切です。お子さんの肩に気になる様子がある場合は、自己判断で様子を見続けず、まず整形外科などの医療機関にご相談ください。
お子さんの肩の痛みが気になるときは、まず整形外科などの医療機関にご相談ください。そのうえで、体づくりのサポートをお考えでしたら、一宮市周辺で野球肩のお子さんの体づくりについて、一宮整骨院〜Seri〜にお気軽にご相談ください。
一宮整骨院〜Seri〜
所在地: 愛知県一宮市(苅安賀駅 徒歩8分)
電話: 058-652-4101
ご予約: https://ichinomiyaseitaiin.com/contact
一宮整骨院〜Seri〜の施術について
一宮整骨院〜Seri〜は、KIRIN整体グループ共通の施術教育に基づき、2つのアプローチを組み合わせて施術を行っています。
- FJA理論(筋膜・関節アプローチ):痛みの出ている部分の関節に起きている「動きの小さなエラー」と、筋肉・筋膜の滑らかさ(滑走性)に着目し、局所の動きを整えるアプローチです。
- 姿勢循環整体:体を一つのつながりとして捉え、姿勢と血流などの「循環」を整えることで、体が本来持っている回復に向かう力を引き出すことを目指す全身のアプローチです。
「痛い場所」への局所的な施術と、その背景にある姿勢や全身のバランスへの施術を組み合わせ、お一人おひとりの状態に合わせて行うのが当院の特徴です。
一宮整骨院〜Seri〜(愛知県一宮市・苅安賀駅 徒歩8分)では、肩の痛みでお悩みの方のご相談を受け付けています。「この痛みはどうしたらいいの?」という段階のご質問でも構いません。
この記事の執筆・監修
三ツ村 崚聖(みつむら りょうせい)
KIRIN整体グループ 代表|きりん接骨院 名駅院 院長
柔道整復師(国家資格)|FJA東海地区講師|臨床歴20年以上・延べ11万回以上
姿勢循環整体・自律神経整体を軸に、検査で異常が出ない不調や成長期のスポーツ障害に向き合う。
よくある質問(FAQ)
Q. 肩甲骨のストレッチは野球肩に意味がありますか?
A. 肩甲骨まわりが硬いと、投球時に肩の関節へ負担が集まりやすくなります。肩甲骨の動きを保つストレッチは、負担を分散させる助けになる場合があります。ただし痛みを我慢して行うのは避け、気持ちよく伸びる範囲にとどめましょう。
Q. 肩甲骨のストレッチは1日何回くらいやればいいですか?
A. 目安は、入浴後など体が温まった時に、1種目20〜30秒を2〜3回ほどです。反動をつけず、呼吸を止めずに、ゆっくり行います。やりすぎると逆に違和感が出ることもあるため、毎日少しずつ続けるくらいの気持ちで取り組みましょう。
Q. ストレッチをしても肩の痛みが続く場合はどうすればいいですか?
A. ストレッチで痛みが増える、投げると鋭く痛む、夜も痛むといった場合は、無理に続けないでください。当院は柔道整復師であり、医師ではないため診断はできません。まず整形外科で骨や腱の状態を確認してもらうことをおすすめします。






