お子さんが「投げると肩の奥が張る感じがする」「インナーマッスルが弱いのでは」と口にしたことはありませんか。野球をしている子どもの保護者にとって、インナーマッスルという言葉は聞いたことがあっても、実際に肩のどこを指していて、何のためにあるのかまでは分かりにくいものだと思います。
野球肩(投球障害肩)と呼ばれる肩の痛みや動きにくさには、このインナーマッスルの状態が関係していると考えられています。この記事では、インナーマッスルとはどの筋肉を指すのか、肩の安定にどう関わっているのか、そして家庭でできる範囲の軽いトレーニングの考え方について、保護者の方に向けてお伝えします。
肩の痛み(五十肩・野球肩)を「動き」と「全身のつながり」で捉える当院の視点
肩の痛みや動かしづらさは、肩関節や肩甲骨まわりの副運動(骨と骨の間で起こる小さな遊びの動き)が乱れ、周囲を覆うファシア(筋膜)の滑走性が低下することで、腱板や関節包に負担が集中しやすくなっている状態と考えられます。当院ではこの小さな動きのエラーに触れて変えるのではなく、反応を引き出すことを目指したアプローチを行います。
一方で、猫背や巻き肩といった姿勢の乱れは肩だけの問題にとどまらず、全身の血流やリンパの循環にも影響し、肩への負担を増やす一因になり得ると考えられています。局所の動きはFJA理論の視点で、全身の姿勢や循環は姿勢循環整体の視点で役割分担しながら整えることで、身体が本来持つ自然治癒力が発揮されやすい環境づくりをサポートしています。
なお本コンテンツは診断や治療、効果を保証するものではなく、強い痛みやしびれ、動かせないなどの症状がある場合は医療機関の受診をおすすめします。
インナーマッスル(回旋筋腱板)とは
野球や投球の話でよく出てくる「インナーマッスル」とは、正式には回旋筋腱板(かいせんきんけんばん、ローテーターカフとも呼ばれます)という、肩関節の奥にある4つの筋肉群を指すことが多いとされています。具体的には棘上筋(きょくじょうきん)・棘下筋(きょくかきん)・小円筋(しょうえんきん)・肩甲下筋(けんこうかきん)の4つで、いずれも肩甲骨から始まり、上腕骨(じょうわんこつ、二の腕の骨)の頭の部分を包み込むように付着しています。
体の表面から触れる三角筋のような大きな筋肉(アウターマッスル)に対して、これらは体の深いところにあることから「インナー(内側の)マッスル」と呼ばれているそうです。ただしこれは正式な疾患名や診断名ではなく、肩甲骨まわりの筋肉群を指す通俗的な呼び方として使われることが多いとされていますので、その点は前提として押さえておくとよいと思います。
肩の安定に果たす役割
肩関節は、骨だけを見ると比較的浅い受け皿(肩甲骨側)に、大きな球状の骨頭(上腕骨側)が乗っているような構造をしており、可動域が広い代わりに不安定になりやすい関節とされています。この不安定になりやすい構造を、周囲の筋肉や靭帯、関節包が支えることで安定させていると説明されています。
回旋筋腱板は、この骨頭を関節の受け皿の中心に引き寄せながら保持し、腕を上げる・回すといった動作の軸を安定させる役割を担っていると考えられています。投球動作では、肩甲骨から体幹、下半身までを含めた全身の連動の中で、腕を強く振り出す加速期と、振り出した腕を急激に止める減速期の両方で、回旋筋腱板に大きな負担がかかるとされています。
こうした繰り返しの負担によってインナーマッスルの働きが低下したり、周囲との筋力バランスが崩れたりすると、肩関節の安定性が低下し、投球時の負担が増える一因になると考えられています。そのため、投球を続けるお子さんにとって、インナーマッスルを含めた肩まわり・体幹の状態を整えることは、体づくりの一つの視点として大切にされています。
家庭でできる軽いトレーニング例(チューブ等・無理なく)
インナーマッスルのトレーニングとして一般に紹介されているものには、軽い負荷でのチューブトレーニングなどがあります。たとえば、脇を軽く締めた姿勢でチューブを外側に開く動き、内側に閉じる動きなど、大きな力を使わず、ゆっくりとした動作で行うものが多いとされています。
ポイントとして共通して挙げられているのは、次のような点です。
- 大きな重りや強い負荷ではなく、軽い負荷を丁寧な動作で行うこと
- 反動を使わず、ゆっくりとしたスピードで動かすこと
- 肩だけでなく肩甲骨の動き、体幹の安定も意識すること
- 回数や強度は少しずつ段階的に増やしていくこと
これらはあくまで一般的なコンディショニングとして紹介されている範囲の内容であり、お子さんの体格や年齢、投球状況によって適切な内容は異なります。可能であれば、指導者やトレーナー、医療機関などと相談しながら取り入れることが望ましいとされています。
痛みがある時は行わない
大切な注意点として、肩に痛みがあるとき、投球のたびに痛みを感じるときは、インナーマッスルのトレーニングを含め、自己判断で負荷をかけるトレーニングを行うことは避けたほうがよいとされています。痛みがある状態での筋力トレーニングは、かえって組織への負担を増やしてしまう可能性があるためです。
特に、成長期のお子さんに多いとされるリトルリーグショルダー(上腕骨近位骨端線離開)のように、骨の成長軟骨の部分に負担がかかっている場合は、レントゲン(X線)による確認が必要とされ、この診断は整形外科など医師の領域です。当院を含む整骨院でこの状態を診断することはできませんので、肩の痛みが続く、可動域が狭くなっている、安静時にも痛むといったサインがあるときは、自己判断でトレーニングを続けるのではなく、まず整形外科(できればスポーツ整形外科)を受診していただくことをおすすめします。
そのうえで、肩だけでなく体幹や下半身を含めた全身のコンディショニングを意識することが、投球時の肩への負担を分散させる考え方として紹介されています。インナーマッスルの働きも、こうした全身のつながりの中の一部として捉えていただくとよいと思います。
一宮整骨院〜Seri〜の「KIRIN整体」という考え方
インナーマッスルの状態も、肩単体ではなく全身のつながりの中で見ていくことが大切だと、当院では考えています。当院では、痛む肩だけを診るのではなく、なぜそこに負担が集まったのかを全身から探すという考え方を大切にしています。これを「KIRIN整体」と呼び、次の4つの視点と医療機関との併用でサポートしています。なお、野球肩の診断や治療は整形外科など医師の領域であり、当院がこれを治療するものではありません。
関節と筋膜を整える
肩関節の動きと、体を包む筋膜(体を包む薄い膜のようなもの)のなめらかな滑りはセットで働いています。投球の繰り返しで生じるこわばりを整え、肩本来の動きを引き出すサポートを目指します。
神経の通り道を整える
神経が周囲の組織にひっかかり巡りが落ちると、しびれや痛みにつながると考えられています。神経の滑り道をゆるめる視点からサポートします。
姿勢と全身のつながり(肩甲骨・体幹・下半身)を整える
投球は、下半身から体幹、肩甲骨、肩、肘へと力が連鎖する全身運動です。肩だけでなく、肩甲骨の動き・体幹・股関節など全身のつながりから整え、肩への負担が偏りにくい体づくりをサポートします。
呼吸と巡りを整える
浅い呼吸や巡りの滞りは、回復力を下げてしまうことがあります。横隔膜(呼吸を助ける、肋骨の下の筋肉)や呼吸、血流を整え、疲れが抜けやすい体の土台づくりをサポートします。
医療機関との併用
野球肩の診断・画像検査・治療は整形外科(医師)の領域です。当院ではまず医療機関で状態を確認していただいたうえで、日々のケアと体づくりをサポートする併用のスタンスを大切にしています。
まとめ
インナーマッスル(回旋筋腱板)は、肩関節の安定を支える大切な筋肉群であり、その働きが低下すると投球時の肩への負担が増える一因になると考えられています。ただし、痛みがあるときのトレーニングは避け、まずは整形外科など医療機関で状態を確認してもらうことが大切です。
お子さんの肩の痛みが気になるときは、まず整形外科などの医療機関にご相談ください。そのうえで、体づくりのサポートをお考えでしたら、一宮市周辺で野球肩のお子さんの体づくりについて、一宮整骨院〜Seri〜にお気軽にご相談ください。
一宮整骨院〜Seri〜
所在地: 愛知県一宮市(苅安賀駅 徒歩8分)
電話: 058-652-4101
ご予約: https://ichinomiyaseitaiin.com/contact
一宮整骨院〜Seri〜の施術について
一宮整骨院〜Seri〜は、KIRIN整体グループ共通の施術教育に基づき、2つのアプローチを組み合わせて施術を行っています。
- FJA理論(筋膜・関節アプローチ):痛みの出ている部分の関節に起きている「動きの小さなエラー」と、筋肉・筋膜の滑らかさ(滑走性)に着目し、局所の動きを整えるアプローチです。
- 姿勢循環整体:体を一つのつながりとして捉え、姿勢と血流などの「循環」を整えることで、体が本来持っている回復に向かう力を引き出すことを目指す全身のアプローチです。
「痛い場所」への局所的な施術と、その背景にある姿勢や全身のバランスへの施術を組み合わせ、お一人おひとりの状態に合わせて行うのが当院の特徴です。
一宮整骨院〜Seri〜(愛知県一宮市・苅安賀駅 徒歩8分)では、肩の痛みでお悩みの方のご相談を受け付けています。「この痛みはどうしたらいいの?」という段階のご質問でも構いません。
この記事の執筆・監修
三ツ村 崚聖(みつむら りょうせい)
KIRIN整体グループ 代表|きりん接骨院 名駅院 院長
柔道整復師(国家資格)|FJA東海地区講師|臨床歴20年以上・延べ11万回以上
姿勢循環整体・自律神経整体を軸に、検査で異常が出ない不調や成長期のスポーツ障害に向き合う。
よくある質問(FAQ)
Q. 野球肩でいうインナーマッスルとは何ですか?
A. 肩の関節を深い部分で支える小さな筋肉の総称で、腱板(ローテーターカフ)と呼ばれます。投球時に肩の骨を安定させる働きがあり、ここが疲れて働きにくくなると肩への負担が増えると考えられています。深部の筋肉なので自分では状態がわかりにくい点も特徴です。
Q. インナーマッスルを鍛えれば野球肩を防げますか?
A. 弱さが負担の一因になることはありますが、鍛えれば防げると言い切ることはできません。強い負荷や痛みを我慢したトレーニングは逆効果になることもあります。軽い負荷から、痛みのない範囲で行うことが大切です。フォームを崩さず、回数よりも丁寧さを優先してください。
Q. 痛みがある時もインナーマッスルのトレーニングをしていいですか?
A. 痛みがある時は、まず原因の確認が優先です。当院は柔道整復師であり、医師ではないため診断はできません。強い痛みが続く場合は整形外科を受診し、医師の許可が出てから、状態に合わせて無理のない範囲で行いましょう。






