「肘が痛い」とお子さんが言うと、まずご家庭でマッサージをして様子を見ようと考える親御さんは少なくありません。強く揉めば血行が良くなって楽になるはず、と思う方も多いのではないでしょうか。しかし野球肘は、成長途中の骨や軟骨に負担がかかって起こる可能性がある障害で、自己流のマッサージがかえって回復を妨げてしまう場合もあります。この記事では、家庭でのマッサージの注意点や、専門家によるケアとの違いについて、柔道整復師の視点から解説します。
野球肘とマッサージの関係を知っておく
野球肘は、投球動作を繰り返すことで肘の内側・外側・後方のいずれかに負担が蓄積し、痛みや動かしにくさが出てくる状態の総称として使われることが多い言葉です。成長期のお子さんの場合、骨の成長にかかわる部分(成長軟骨)がまだやわらかく、大人と同じ感覚でケアをすると負担のかかり方が変わってくることがあります。
マッサージは血行を促したり筋肉の緊張をやわらげたりする目的で行われることがありますが、野球肘の場合は「筋肉の張り」だけが原因とは限りません。骨や軟骨、靭帯(骨と骨をつなぐ組織)に近い部分に負担がかかっているケースもあるため、揉むことでかえって刺激が強くなってしまう可能性も考えられます。
自己流マッサージに潜むリスク
強く揉むことで負担が増える可能性
痛みがある部分を「ほぐそう」として強く揉んでしまうと、炎症を起こしている組織にさらに刺激を加えることになりかねません。特に肘の内側や外側の骨の際(きわ)にあたる部分は、力の加減が難しく、素人判断で強い圧をかけるのは避けたほうが良いと考えられています。
痛みの原因を誤って判断してしまう
家庭でのマッサージは「ここが張っているから」という見た目や触った感覚での判断になりがちです。しかし野球肘の背景には、骨の一部が剥がれるように傷んでいたり、成長軟骨に負担がかかっていたりするケースも報告されています。痛みの原因を正確に把握しないままマッサージを続けると、本来必要な安静やケアのタイミングを逃してしまうおそれがあります。
「揉めば治る」という思い込み
マッサージで一時的に痛みが和らいだように感じても、それは炎症や損傷そのものが改善したことを意味するとは限りません。痛みの感じ方と、組織の状態が必ずしも一致しないことがあるため、「楽になったから大丈夫」と投球を再開してしまうと、負担が積み重なってしまう可能性もあります。
時期によってマッサージの向き不向きは変わる
痛みが強い急性期は慎重に
投球直後や痛みが強く出ている時期は、患部そのものを揉むことは避けたほうが良いとされています。この時期に必要なのは、まず投球やその他の負担のかかる動作を控えて、様子をみることだとされています。冷やす対応(アイシング)が向いている場合もありますが、対応の仕方はお子さんの状態によって異なるため、迷う場合は自己判断で進めず専門家に相談することをおすすめします。
痛みが落ち着いてきた時期
痛みが少し落ち着き、日常生活での動きに支障が少なくなってきた段階では、肘そのものではなく、肩や背中、股関節まわりなど、投球動作全体にかかわる筋肉をやわらげるケアが取り入れられることがあります。これは患部への直接的な刺激を避けながら、体全体の動かしやすさを整えるという考え方に基づくものです。
判断に迷ったら自己流で進めない
「今は揉んでいい時期なのか、まだ早いのか」を家庭だけで正確に見極めるのは簡単ではありません。判断に迷う場合は、無理に自己流で進めず、早めに相談することが遠回りに見えて結果的に近道になることもあります。
親が家庭でできる範囲とできない範囲
親御さんができることとして、まずは「痛みが出たら無理をさせずに休ませる」「アイシングなど負担の少ない対応を取り入れる」「痛みの様子や投球数、練習の頻度をメモしておく」といったサポートが挙げられます。これらは診断や治療そのものではなく、専門家に相談する際の材料としても役立ちます。
一方で、痛みの原因を特定すること、骨や軟骨の状態を確認すること、レントゲンやMRI、エコーといった画像検査が必要かどうかを判断すること、手術が必要かどうかを判断することは、医師(整形外科)の領域になります。家庭でのマッサージやケアは、あくまで日常生活のサポートの範囲にとどめ、診断にかかわる判断は専門家に委ねることが大切です。
専門家によるケアと家庭マッサージの違い
専門家によるケアでは、まず肘だけでなく肩甲骨や股関節、体幹の動きなど、投球フォーム全体のバランスを確認したうえで、どの部分にどの程度の負担がかかっているかを踏まえてアプローチを考えていきます。これは「痛いところを揉む」という発想とは異なり、負担の原因になっている動きのクセや柔軟性の低下にアプローチするという考え方です。
また、力の加減や触れる角度、行うタイミングについても、成長期の体の状態を踏まえて調整されます。家庭でのマッサージが悪いというわけではありませんが、痛みが続いている、繰り返し痛みが出る、といった場合には、自己流だけで対応を続けるのではなく、専門家によるケアと組み合わせて考えることが望ましいと考えられます。
家庭でのケアと専門家への相談を組み合わせる
野球肘のケアは、家庭でのサポートと専門家によるケアのどちらか一方だけで完結するものではないと考えられています。普段の練習量や痛みの出方を一番近くで把握しているのは、ご家族です。その情報を専門家に伝えることで、より状態に合ったケアの方向性を一緒に考えていくことができます。
「揉んでも良いのか分からない」「どのタイミングで相談すればいいのか迷う」という場合は、判断に時間をかけすぎず、早めに相談先を確保しておくことも一つの方法です。特に痛みが数日以上続く場合や、投球時だけでなく日常の動作でも痛みを感じる場合は、無理にマッサージだけで対応しようとせず、専門家の視点を取り入れることをおすすめします。
一宮整骨院〜Seri〜の「KIRIN整体」という考え方
一宮整骨院〜Seri〜では、痛む肘だけを診るのではなく、なぜそこに負担と滞りが集まったのかを全身から探す「KIRIN整体」という考え方を大切にしています。
関節と筋膜を整える
肘は「関節そのものの動き」と「筋膜(体を包む膜)のなめらかな滑り」がセットになって働いています。動きのわずかなエラーや筋膜の滑りの低下を整えることで、本来の肘の動きを引き出すサポートを目指します。
神経の通り道を整える
神経が周囲の組織にひっかかり、血の巡りが落ちてしまうと、しびれや痛みにつながると考えられています。神経がスムーズに動ける「滑り道」をゆるめるような視点でのサポートを行います。
姿勢と全身のつながりを整える
投球は、下半身から体幹、肩甲骨、腕、そして肘へと力が伝わる一連の動きです。肘だけに負担が集まる背景には、肩甲骨や股関節の硬さ、体の使い方のクセが隠れていることも少なくありません。肘だけでなく、全身のつながりから投球フォームと体のバランスを整えていくサポートを行います。
呼吸と巡りを整える
浅い呼吸や体の巡りの滞りは、体の回復力を下げてしまうと考えられています。横隔膜の動きや呼吸、血流、自律神経(体を緊張とリラックスに切り替える仕組み)のバランスを整えることで、痛みが出にくく回復しやすい体の土台づくりを目指します。これはあくまで呼吸や巡りを整えるコンディショニングであり、内臓の疾患そのものを治療するものではありません。
医療機関との併用
診断や画像検査、手術の判断は整形外科(医師)の領域です。まずは医療機関で今の状態を確認していただき、日々のセルフケアや体づくりの部分を当院がサポートするという、併用の形を大切にしています。
まとめ
お子さんの肘の痛みに気づいたとき、まず家庭でマッサージをして様子を見たくなる気持ちは自然なことです。しかし野球肘は成長期の骨や軟骨にかかわる可能性がある障害であり、強く揉むことや自己流の判断で続けることが、かえって負担を大きくしてしまう場合もあります。時期によって向き不向きが変わること、家庭でできる範囲と専門家に委ねるべき範囲があることを知っておくだけでも、対応の仕方は変わってくるはずです。
お子さんの肘の痛みが続く場合や、マッサージをしても様子が変わらない場合は、早めに専門家へ相談することが大切です。一宮市周辺で野球肘にお悩みの際は、一宮整骨院〜Seri〜にご相談ください。
一宮整骨院〜Seri〜
所在地:愛知県一宮市(名鉄尾西線・苅安賀駅)
電話番号:058-652-4101






