「テーピングを巻いておけば、練習を続けても大丈夫かな」。お子さんの肘の痛みを心配する親御さんから、そんな声を聞くことがあります。ドラッグストアやスポーツ用品店で手軽に買えるテーピングは、確かに心強い味方に見えます。しかし、テーピングは肘の痛みそのものを治す道具ではなく、あくまで「補助」として使うものだと考えられています。この記事では、柔道整復師の視点から、野球肘のテーピングの目的と限界、内側・外側での考え方の違い、家庭で巻く際の注意点についてお伝えします。
テーピングの目的は「補助」であって治療ではありません
テーピングには、関節の動きを制限してこれ以上の負担を防ぐ、周囲の筋肉の働きを助ける、巻いていることで安心感を得られるといった役割があると考えられています。試合や練習の中で、肘への負担を少しでも和らげる目的で使われることが多いようです。
ただし、テーピング自体が炎症を抑えたり、傷んだ組織を修復したりするわけではありません。痛みの背景にある投げすぎやフォームの崩れ、筋肉や関節の柔軟性の低下といった原因にはたらきかけるものではないため、「テーピングをしているから痛くても投げ続けて良い」という考え方は避けたほうがよいかもしれません。テーピングは、休養やストレッチ、専門家によるケアと組み合わせて初めて意味を持つものと考えられています。
内側型と外側型で考え方が異なります
野球肘とひとくちに言っても、痛みが出る場所によって体の中で起きていることは異なると考えられています。テーピングの巻き方や注意すべきポイントも、それぞれで変わってきます。
肘の内側が痛む場合
投球動作では、肘の内側に繰り返し引っぱられるような力がかかりやすいといわれています。内側型では、この部分にある腱(けん・筋肉と骨をつなぐ組織)や靱帯(じんたい・骨と骨をつなぐ組織)、成長期のお子さんであれば骨の端にある成長軟骨(骨が伸びるもとになる、まだやわらかい部分)に負担が集中しやすいと考えられています。テーピングでは、内側が過度に開かないように支える巻き方が用いられることがありますが、締めすぎるとかえって血流や感覚に影響が出る場合もあるため注意が必要です。痛みが軽いからといって同じ巻き方を漫然と続けるのではなく、投球数や休養とあわせて見直していくことが大切だと考えられています。
肘の外側が痛む場合
一方で外側型は、骨同士がぶつかり合うような圧迫のストレスが関係していると考えられており、進行すると骨の一部に変化が生じる可能性も指摘されています。外側の痛みは自覚症状(自分で感じる痛みや違和感)が出にくいまま進んでいることもあるといわれ、テーピングで一時的に楽になったとしても、内部の状態が改善しているとは限りません。骨の状態を確認するレントゲンやMRIなどの画像検査、診断は医師(整形外科)の領域となりますので、外側の痛みが続く場合は自己判断でテーピングだけに頼らず、早めに医療機関や専門家に相談することをおすすめします。
家庭でテーピングを巻くときに気をつけたいこと
家庭で保護者の方がテーピングを巻く場合、いくつか気をつけていただきたい点があります。インターネットや動画で巻き方を調べて試してみる方も多いと思いますが、お子さんの肘の状態や痛みの出方によって適した巻き方は変わってくると考えられていますので、次のポイントを参考にしながら無理のない範囲で行ってください。
- 巻いたあとに指先の色が悪くなっていないか、しびれや冷たさがないかを確認する
- 皮膚がかぶれやすいお子さんの場合は、長時間の使用を避け、こまめに様子を見る
- きつく巻きすぎない。関節を軽く支える程度を意識する
- 練習後はテーピングを外し、肘を休ませる時間をつくる
- 「テーピングをしているから大丈夫」と、痛みがあるのに投球数を増やさない
テーピングは正しい知識のもとで使えば助けになる可能性がありますが、巻き方を誤ると関節の動きを不自然に制限したり、血行を妨げたりすることもあると考えられています。可能であれば、一度専門家に巻き方を確認してもらうと安心です。
テーピングだけで対応しようとする前に
「テーピングをすれば痛みが和らぐから」と、同じ状態のまま練習を続けているうちに、気づかないところで負担が積み重なっているケースもあるようです。特に成長期のお子さんは骨や軟骨がまだやわらかく、無理を続けることで治りにくい状態につながる可能性もあると考えられています。テーピングで痛みが一時的に紛れていても、原因そのものが解消されたわけではないという点は、親子で共有しておきたいポイントです。
専門家に相談すべきケースとは
次のような様子が見られる場合は、テーピングだけで様子を見続けず、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
- 投球時だけでなく、日常生活の中でも肘が痛む
- 肘が完全に伸びきらない、曲げきらないなど動きに制限がある
- 痛みが1週間以上続いている、または繰り返し出ている
- 肘まわりが腫れている、熱を持っている
- 夜間や安静時にも痛みを感じる
こうした症状がある場合、痛みの原因を見極めるための診断や画像検査は医師(整形外科)の役割となります。柔道整復師としては、日々のケアやテーピングの使い方、ストレッチなどの面からサポートすることができますので、気になる場合は早めにご相談ください。テーピングを続けるかどうか、練習量をどう調整するかといったことも、お子さんの状態を見ながら一緒に考えていけると安心です。
一宮整骨院〜Seri〜の「KIRIN整体」という考え方
一宮整骨院〜Seri〜では、痛む肘だけを診るのではなく、なぜそこに負担と滞りが集まったのかを全身から探す「KIRIN整体」という考え方を大切にしています。
関節と筋膜を整える
肘は「関節そのものの動き」と「筋膜(体を包む膜)のなめらかな滑り」がセットになって働いています。動きのわずかなエラーや筋膜の滑りの低下を整えることで、本来の肘の動きを引き出すサポートを目指します。
神経の通り道を整える
神経が周囲の組織にひっかかり、血の巡りが落ちてしまうと、しびれや痛みにつながると考えられています。神経がスムーズに動ける「滑り道」をゆるめるような視点でのサポートを行います。
姿勢と全身のつながりを整える
投球は、下半身から体幹、肩甲骨、腕、そして肘へと力が伝わる一連の動きです。肘だけに負担が集まる背景には、肩甲骨や股関節の硬さ、体の使い方のクセが隠れていることも少なくありません。肘だけでなく、全身のつながりから投球フォームと体のバランスを整えていくサポートを行います。
呼吸と巡りを整える
浅い呼吸や体の巡りの滞りは、体の回復力を下げてしまうと考えられています。横隔膜の動きや呼吸、血流、自律神経(体を緊張とリラックスに切り替える仕組み)のバランスを整えることで、痛みが出にくく回復しやすい体の土台づくりを目指します。これはあくまで呼吸や巡りを整えるコンディショニングであり、内臓の疾患そのものを治療するものではありません。
医療機関との併用
診断や画像検査、手術の判断は整形外科(医師)の領域です。まずは医療機関で今の状態を確認していただき、日々のセルフケアや体づくりの部分を当院がサポートするという、併用の形を大切にしています。
まとめ
野球肘のテーピングは、関節の負担を和らげたり、動きを支えたりする「補助」としての役割が期待できると考えられていますが、痛みの原因そのものを解消するものではありません。内側の痛みと外側の痛みでは体の中で起きていることも異なると考えられており、特に外側の痛みは自覚しにくいまま進んでいることもあるため、テーピングだけに頼らず注意深く様子を見ていただきたいと思います。
家庭でテーピングを行う際は、締めすぎや長時間の使用に気をつけ、痛みが続く場合や日常生活にも支障が出ている場合は、自己判断を続けずに早めの相談を心がけてください。
お子さんの肘の痛みが続く場合は、早めの対応が大切です。一宮市周辺で野球肘にお悩みでしたら、一宮整骨院〜Seri〜にご相談ください。
一宮整骨院〜Seri〜
所在地:愛知県一宮市(名鉄尾西線・苅安賀駅)
電話番号:058-652-4101






